学長挨拶
日頃より長崎大学の教育・研究へのご理解、ご支援を賜り誠にありがとうございます。
長崎大学は、江戸時代末期の1857年、オランダ人医師ポンぺ・ファン・メールデルフォールトと幕臣の松本良順により開設された医学伝習所に端を発し、1945年の原爆被爆という試練を経て、1949年に旧制長崎医科大学、長崎高商、長崎師範などが糾合され、新制大学として設置されました。現在では、9学部、7研究科を有する総合大学へと発展しています。
長崎大学は、経済、医療、教育、工学、水産・環境、多文化共生など実学中心の学部群で構成され、なかでも感染症や被ばく医療など、際立った個性を有しています。その個性は、アフリカやベトナムをはじめ、世界中の様々な現場で輝きを放っています。長崎大学の教育の特色は、各専門領域における豊かな知識や確かな技術を身に付けることはもちろんのこと、グローバル化する社会において、種々の領域の専門家に求められる基盤的な資質や知識や教養の獲得に重点を置いているところにあります。
しかしながら、運営費交付金の削減や資金獲得競争の激化など国立大学を取り巻く状況は次第に厳しさを増しており、本学の特色ある教育・研究をなお一層推進し、多くの優秀な人材を育成するためには、充実した教育・研究環境と安定した財政基盤が不可欠であり、運営費交付金などの公的資金以外に、自助努力による財源の確保が求められています。
このような状況から、長崎大学は平成29年に「西遊基金」を創設し、当大学を卒業された同窓の皆さま、保護者の方々をはじめ、長崎大学にゆかりのある個人、企業・団体等の皆さま、等々からご支援をいただき、学生の修学支援、教育・研究の質の向上、地域・社会貢献の充実などに活用させていただきたいと考えています。
江戸時代には、異国との交流が盛んであった長崎へ、新時代の西洋文明を学ぼうと、日本全国から希望に燃えた若者たちが集いました。この長崎への遊学を、当時は「西遊」とよんだのです。長崎大学は、魅力ある大学づくりに邁進するとともに、国内外の大志ある学生たちに「西遊」をよびかけ、参集した俊英には英知を注ぎ込む覚悟です。その際には「西遊基金」を活用することになります。皆さまには何とぞ「西遊基金」の趣旨をご理解いただき、格別のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
平成29年10月 長崎大学長 河野 茂